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インプラントと天然歯の違い


顎の骨(歯槽骨)に人工歯根を埋め入れる、インプラント。


人工歯根に基づき、インプラントは高い安定性を持ちます。ただし、インプラントは完全無欠の人工歯ではありません。人工歯根・人工歯がゆえの、デメリットも。


インプラントと天然歯(ご自身の天然の歯)には、どんな違いが存在するのでしょうか?


■インプラントと天然歯の違い


◎インプラントには歯根膜がない

天然歯には、歯の根を取り囲み、歯根と顎の骨をつなげている靭帯組織の歯根膜(しこんまく)が存在します。


一方、インプラントは人工物のため、歯根膜がありません。


歯根膜がないインプラントは、天然歯と比べて、以下のような、“噛む機能”を感じにくくなる可能性があります。


[歯根膜がないことでインプラントに生じ得る、噛む機能の違い(天然歯の噛む機能との違い)]


①天然歯と比べて、噛んだときの感覚を敏感に感じにくくなる

噛んだときの感覚を敏感に感じにくくなり、天然歯と比べて、食材を食べたときの微妙な歯ざわりに違いが出る可能性があります。


②天然歯と比べて、噛む力の微妙なコントロールがしにくくなる可能性がある

硬い物を「硬い」と敏感に感じられず、強く噛み過ぎてしまう場合も。


インプラントの噛む力のコントロールができていないと、強く噛み過ぎたことが原因で、以下のような悪影響が生じる可能性があります。


  • 歯ぐきや歯槽骨などの歯周組織がダメージを受ける

  • 歯周組織へのダメージによってインプラント周囲炎が進行する


天然歯と同様に、インプラントを入れた方は、歯ぎしり・食いしばりの癖やインプラント周囲炎(歯周病)に注意が必要です。


◎インプラントの人工歯はむし歯にならない

インプラントの人工歯は人工物(セラミックなど)のため、むし歯にはなりません。


むし歯にはなりませんが、歯ぐき、歯槽骨など、インプラントの周りの歯周組織は患者さまの生身の組織です。生身の歯周組織のため、セルフケア+歯科医院での定期メンテナンスを怠ると、歯周病の一種である「インプラント周囲炎」を発症する可能性があります。


◎インプラントの噛む力は天然歯の80~90%程度

患者さまや症例によって異なりますが、天然歯の噛む力を100とした場合、インプラントは80~90%程度、噛む力を回復させることができます(※)。


(※)平均の数値です。患者さまや症例により、

噛む力の回復率が異なります。


◎ケアを怠った場合、インプラントを失う可能性が天然歯よりも高くなる

インプラントは歯根膜がなく、天然歯と比べて、歯周組織への血液供給が少ないです。


歯根膜がなく血液供給が少ない分、天然歯と比べて、インプラントは歯周組織の回復力が多少弱まります。


歯周組織の回復力が多少弱まるため、ケアを怠った場合、インプラント周囲炎(歯周病)によって人工歯を失う可能性が高くなります。


なお、ケアを怠ると、むし歯・歯周病などによって歯を失うことがある点は天然歯も同じです。


インプラント・天然歯、どちらも、毎日の歯磨きによるセルフケア+歯科医院での定期メンテナンスを継続して行うことで、インプラント・天然歯の寿命を延ばしやすくなります。


◎見た目の違い

インプラントの人工歯は、透明度が高いセラミック製が一般的です。セラミック製の人工歯を用いることで、天然歯に近い、自然な見た目に近づけられます。


(※)当院では、ジルコニアセラミックの

上部構造を採用しています。


自然な見た目に近づけられるインプラントですが、以下のような素材の人工歯の場合、不自然な白さに見えるケースも。


[不自然な白さに見えることがある人工歯の素材]


  • レジン(プラスチック樹脂)

  • 透明度が低いセラミック(従来型ジルコニアなど)


人工歯の素材に加え、歯ぐきとアバットメントのラインの合わせ方によっては、歯ぐきと人工歯の境目が不自然に見えてしまうおそれがあります。


【インプラントを安定させるためには、適切な治療と継続的なケアが大切です】


歯根膜がないなど、デメリットもあるインプラントですが、以下の2点を行うことで、インプラントを保ちやすくなります。


  • 患者さまのお口の状態を見極め、適切なインプラント治療を実施する

  • 治療後、継続してケア(セルフケア+歯科医院でのメンテナンス)を行う


天然歯と比べると、噛む機能の微妙な違い・血液供給が少ないなどの差が存在する、インプラント。


人工物のため天然歯との差はありますが、歯を失った方は人工歯根による高い安定性を持つインプラントはおすすめの補綴治療です。


インプラントにすることで、治療後は、弾力のあるお肉や野菜などの様々な食材をしっかり噛んで食事を楽しめるようになります。


歯・歯周組織の状態が悪くしっかり噛めていない方、失った歯の治療方法でお悩みの方は、ぜひ、この機会にインプラントをご検討ください。

あくね歯科クリニック
歯科医師
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