
しっかり噛めない、飲み込みにくい… など、お口周りの機能が衰えてしまう「口腔機能低下症」。
先月のブログでは、口腔機能低下症の概容・インプラント補綴による噛む力の改善について、お話をさせていただきました。
今月は、インプラント補綴を含め、口腔機能低下症を予防・改善するための様々な方法をご紹介します。
目次
■口腔機能低下症を予防・改善するには? 噛む力・飲み込む力を改善するために重要なこと
1.望ましいのは、「ご自身の天然の歯を保つこと」
口腔機能低下症を予防するために、望ましいのは、ご自身の天然の歯を保つことです。
ご自身の丈夫な歯があれば、弾力のある肉やお刺身、繊維質の野菜・魚、歯ごたえのあるナッツなどの食べ物をしっかり噛めます。
かけがえのない、天然の歯。
ご自身の天然の歯を保つには、以下の2つのケアを継続することが大切です。
[歯を保つための2つのケア]
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ご自身で行う、毎日の歯磨き+歯間清掃(セルフケア)
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歯科医院で受ける、定期検診(歯科医師による検診+歯のクリーニング)(プロケア)
2.歯・歯周組織に異常を感じたときは、できるだけ早めに歯科医院を受診する
ご自身の歯を残すためには、むし歯・歯周病など、歯の病気や異常が起きたときに、できるだけ早めに歯科医院で治療を受けることが重要です。
歯がしみる・歯が痛い、歯ぐきが下がってきているなど、歯・歯周組織に異常を感じたときは、できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。
なお、早めの歯科受診が望ましいですが、より良いのは、歯科医院で定期検診を受けること。歯がしみる・歯が痛いなどの症状がなくても、普段から歯科医院で定期検診を受けることで、歯・歯周組織の病気や異常の早期発見・早期治療につなげやすくなります。
{歯周病は痛みなどの自覚症状に乏しく、ご自身では歯周病の存在に気づけないことが多い}
進行すると歯のしみ・歯の痛みなどが現れやすいむし歯と異なり、歯周病(歯ぐきや顎の骨がダメージを受ける病気)は痛みなどの自覚症状に乏しいです。
自覚症状に乏しい病気のため、ご自身では歯周病の存在に気づかず、歯科医院で治療を受けずに放置しているケースが少なくありません。
歯周病の進行を抑え、歯周病の早期発見・早期治療につなげるためには、定期的に歯科医院で検診(定期検診)を受けることが重要です。
3.歯を失ってしまった場合は、インプラントなどの補綴治療で噛む力を補う
ご自身の歯を保つのが望ましいですが、むし歯・歯周病・歯根破折・不慮の事故などにより、不幸にも歯を失ってしまうケースも。
歯を失ってしまった場合は、歯科医院で以下のような補綴治療を受けることで、失った歯の噛む力&見た目を回復できます(※)。
(※)補綴治療の種類(人工歯根の有無、保険・自費など)により、
噛む力の回復率&見た目の自然さが異なります。
[歯科医院で行う、失った歯を補うための補綴治療の種類]
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インプラント
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ブリッジ
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入れ歯
(※)クリニックにより、対応している補綴治療が異なります。
{ブリッジや入れ歯は、残っている天然の歯を傷つけてしまうことも}
「残っている隣の歯で人工歯(or義歯)を支える」という構造上、ブリッジや入れ歯は、残っている天然の歯を傷つけてしまうことがあります。
「安いから」「とりあえずこれでいいかな」と保険のブリッジ・保険の入れ歯にしたものの、隣の歯が傷つき、残っている歯を失い続けるケースが少なくありません。
4.歯の状態によっては、歯科矯正や咬合調整が必要になる場合も
むし歯・歯周病など、歯の病気に対しては、歯科医院でできるだけ早めにむし歯治療・歯周病治療を受けることが重要になります。
早期治療が重要ですが、歯を失う原因はむし歯・歯周病のみではありません。
むし歯・歯周病のほか、以下のような理由により、歯を失ってしまうケースも。
[むし歯・歯周病以外の原因で歯を失う例]
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歯並びの乱れ
歯並びが乱れると噛み合わせのバランスが崩れ、特定の歯や歯ぐきに強い負荷がかかります。これが外傷性咬合を招き、歯周病の進行や歯ぐき・骨のダメージにつながり、歯を失う原因になることがあります。
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噛み合わせの乱れ
歯並びの乱れや合っていない詰め物・被せ物があると、噛み合わせが崩れ、特定の歯や歯ぐきに強い負荷がかかります。こうした外傷性咬合が続くと歯周病が進行し、最終的に歯を失う原因になることがあります。
上記のような場合は、歯科医院での歯科矯正や咬合調整(歯の噛み合わせ面を削り、噛み合わせを正常に近づける治療)が必要になる場合も。
歯科矯正や咬合調整のほか、合っていない補綴物(不良補綴物)が原因で噛み合わせが乱れているケースでは、ご自身の歯並び・噛み合わせに合った精度が高い補綴物に変えることで、噛み合わせの乱れの改善にアプローチできます。
5.誤った噛み方・飲み込み方や加齢が原因でお口周りの機能が低下している場合は、口腔筋機能療法(MFT)やあいうべ体操などで口腔機能の改善にアプローチ
誤った噛み方・飲み込み方は、噛む機能・飲み込む機能を低下させる原因の一つです。
以下のような誤った噛み方・飲み込み方をしていると、噛む機能・飲み込む機能が低下しやすくなります。
[噛む力・飲み込む力を低下させやすい誤った噛み方・飲み込み方の例]
誤った噛み方
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歯を失い、治療を受けずに放置している方が、残っている側の歯ばかりで食べ物を噛む
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片方の歯ばかりで噛む・前歯で噛み千切らない・奥歯であまり噛まない、などの(子どもの頃からの)悪い癖 などの誤った噛み方
誤った飲み込み方
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頬の筋肉で液体を押し込むように飲む
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顎をしゃくるように飲む などの誤った飲み込み方
誤った噛み方・飲み込み方のほか、加齢によってお口周りの筋肉が衰え、噛む力・飲み込む力が低下するケースも少なくありません。
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上記の原因によって噛む力・飲み込む力が低下している場合は、以下のような方法で噛む力・飲み込む力の改善にアプローチできます。
[噛む力・飲み込む力を改善するための方法の例]
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歯科医院で行う(やり方をお教えする)「口腔筋機能療法(MFT)(お口周りの筋トレ)」
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ご自身で行う「あいうべ体操」などのお口周りの筋トレ
【セルフケアを継続し、歯科医院で定期的に検診を受けましょう】
口腔機能低下症は「オーラルフレイル」という言葉で表現される場合があります。
オーラルフレイルとは、「オーラル=お口周りのフレイル=衰弱、衰え」を表す言葉です(≒口腔機能低下症)。
オーラルフレイルの状態が続くと、
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噛む力・飲み込む力の低下が原因でまともに食事を取れず、栄養が不足して全身の筋肉量が減少する(サルコペニア)
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全身の筋肉量の減少により、立つ・しゃがむ・歩くなど、日常生活の動作(移動動作機能)が困難になる(ロコモ(ロコモティブシンドローム))
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サルコペニア→ロコモの状態が進行し、ご自身では食事・歩行・排せつなどが困難になる(要介護の状態)
上記のように、このような状態が進むと、日常生活の動作にサポートが必要になる場合もあります。噛む力・飲み込む力の維持は、サルコペニア・ロコモ・要介護を予防するための「第一歩」です。
サルコペニア・ロコモ・要介護にならないようにするために、そして、ご自身の力で活き活きと生きていくために、毎日のセルフケア(ご自身で行う歯磨き+歯間清掃)をしっかりと継続しましょう。
毎日のセルフケアに加え、歯科医院で定期的に検診(定期検診)を受けることで、むし歯・歯周病などの歯の病気や異常の早期発見・早期治療につなげやすくなります。
