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唾液が多い人ほど歯が長持ち? インプラントと唾液の深い関係


■毎日の習慣がインプラントの寿命を左右する


「せっかく入れたインプラント、できるだけ長く使いたい」——こうした思いをお持ちの方は、きっと少なくないはずです。


実は、インプラントを守ってくれる心強い味方が、私たちの口の中にいつも存在しているのをご存じでしょうか。その正体は「唾液」です。


唾液の中には、細菌の増殖を抑える抗菌物質や、歯の表面を修復してくれるミネラル成分がたっぷり含まれています。いわば「天然の消毒液」として、口の中で休むことなく働き続けているのです。


この記事では、唾液に含まれる成分とその働き、インプラントとの深い関係性、そして唾液を増やすために今日から始められる3つの習慣についてお伝えします。少しの工夫で、大切なインプラントを長く健康に保つヒントが見つかるかもしれません。


■唾液に含まれる成分と歯を守る効果



唾液は単なる「水分」ではありません。さまざまな成分が絶妙に組み合わさった、口の中を守るためのシステムなのです。


ここからは、その主要な成分と働きを詳しくご紹介していきます。


◎抗菌物質が細菌の増殖を抑える仕組み

唾液の中には、リゾチームやラクトフェリン、免疫グロブリンA(IgA)といった抗菌物質が含まれています。


リゾチームは細菌の細胞壁を分解する酵素で、口の中に入り込んだ有害な菌に対して働きかける頼もしい存在。一方、ラクトフェリンは鉄分と結びつくことで、鉄を必要とする細菌の繁殖を妨げる働きを持っています。


こうした成分たちが、24時間体制で口の中をパトロールし、感染症の原因となる細菌をしっかり抑え込んでくれているわけです。


◎再石灰化を促し歯の表面を修復する作用

唾液には、カルシウムやリン酸といったミネラル成分が溶け込んでいます。


食事などで歯の表面のエナメル質からミネラルが溶け出してしまっても、唾液中のこれらの成分が再びエナメル質に取り込まれていく——これが「再石灰化」と呼ばれる現象です。


この働きのおかげで、初期の脱灰(歯の表面が溶け始めた状態)であれば、自然に修復される可能性があるとされています。唾液が十分に分泌されていることが、修復作用を引き出すための大切な条件といえるでしょう。


◎口内のpHを中和して酸から守る緩衝作用

食事をとると、口の中は一時的に酸性へと傾きます。この状態が長く続いてしまうと、エナメル質が溶けやすくなるため注意が必要です。唾液には酸性に傾いた口内環境を中性へと戻す力があります。


食後20〜30分ほどで口の中のpHが中性に回復するのは、この緩衝作用のおかげです。唾液の量が少ないと酸性状態が長引き、歯へのダメージが蓄積されやすくなるのです。


■唾液が多い人ほどインプラントが長持ちする理由


天然の歯はもちろんのこと、インプラントにとっても唾液は大切な存在です。とりわけインプラント周囲の健康を保つうえで、唾液の量と質は見逃せないポイントです。


◎唾液はインプラント周囲炎を防ぐ「天然の消毒液」

インプラントにとって特に気をつけたいトラブルのひとつが「インプラント周囲炎」。


これはインプラントを支えている歯ぐきや骨に炎症が起きてしまう状態で、進行するとインプラントを支えきれなくなる可能性があります。


唾液に含まれる抗菌成分は、インプラント周囲に付着しようとする細菌を洗い流し、増殖を抑える働きがあるとされています。


唾液量が豊富な方は、この「天然の消毒液」が口の隅々まで行き渡るため、炎症リスクを低く抑えやすい傾向にあるといわれています。


さらに唾液には粘膜を保護する成分も含まれていて、インプラントと歯ぐきの境目を外からの刺激から守る役目も果たしています。日々の口腔内環境を左右する唾液の存在は、インプラントを長く安定させるために欠かせない要素でもあります。


◎意外と知られていない唾液量低下のサイン

「口が渇く」という自覚がなくても、知らないうちに唾液量が減っているケースは珍しくありません。次のような症状に心当たりがあれば、唾液分泌が低下している可能性を考えてみてください。


  • 食事中、水分を頻繁に摂らないと飲み込みにくい

  • 朝起きたとき、口の中がネバネバする

  • 以前より口臭が気になるようになった

  • 味を感じにくくなった気がする

  • 唇や口角が荒れやすくなった


加齢や服用中のお薬の影響、日々のストレスなど、唾液量が減る原因はさまざま。こうしたサインに気づいたら、唾液を増やす習慣を意識して取り入れてみることをおすすめします。


■唾液を増やす3つの習慣でインプラントを守る



唾液の分泌量は、日常生活のちょっとした心がけで増やせることをご存じでしょうか。


ここでは、今日から実践できる3つの習慣をご紹介します。特別な道具は必要なく、毎日の暮らしに無理なく取り入れられるものばかりです。


◎よく噛んで食べることで唾液腺を刺激

食事のときにぜひ意識したいのが「噛む回数」。しっかり噛むことで唾液腺が刺激され、唾液の分泌がぐんと促されます。目安として、一口あたり20〜30回ほど噛むよう心がけてみてください。


ついつい早食いになりがちな方は、「一口ごとにお箸を置く」ことから始めてみるのも効果的。噛む回数が増えると消化吸収にもプラスに働くとされており、まさに一石二鳥のメリットがあります。


◎こまめな水分補給で口内環境を整える

唾液の原料となるのは水分です。体内の水分が足りなくなると、当然ながら唾液の分泌量も減ってしまいます。のどの渇きを感じる前に、こまめに水分を摂る習慣を身につけましょう。


とくに起床時や入浴後、就寝前は体の水分が減りやすいタイミング。コップ1杯程度の水を飲む習慣をつけておくと、口の中の潤いを保ちやすくなります。カフェインを含む飲み物は利尿作用があるため、水やお茶を中心に選ぶのがおすすめです。


◎唾液腺マッサージで分泌を促すセルフケア

唾液を分泌する唾液腺は、主に3か所に存在しています。これらを優しくマッサージすることで、唾液の分泌を後押しすることが期待できます。


耳下腺(じかせん)のマッサージ


耳たぶの前あたり、頬骨の下のくぼみを、人差し指から小指までの4本の指で円を描くようにそっと押してみてください。


顎下腺(がっかせん)のマッサージ


顎の骨の内側にある柔らかい部分を、親指を使って耳の下から顎先へ向かって順番に押していきます。


舌下腺(ぜっかせん)のマッサージ


顎の真下、舌の付け根あたりを、両手の親指でゆっくり上に向かって押し上げます。


それぞれ5〜10回ほど、食前や入浴中などリラックスしているときに行うと効果的です。痛みを感じるほど強く押す必要はありませんので、気持ちいいと感じる程度の力加減で試してみてください。


■よくある質問


Q.唾液が少ないとインプラントにどのような影響がありますか?

A.唾液の量が少なくなると、口の中の細菌を洗い流す力が弱まってしまいます。するとインプラント周囲に細菌が繁殖しやすくなり、インプラント周囲炎のリスクが高まる可能性があると考えられています。また、口の中が乾燥気味になると食べかすが残りやすく、プラークができやすい環境になってしまう点にも注意が必要です。


Q.唾液腺マッサージはいつ行うのが効果的ですか?

A.食事の前に行うと唾液の分泌が促され、食べ物の消化を助ける効果が期待できます。入浴中やリラックスしている時間帯に行うのもおすすめ。1日2〜3回くらいを目安に、無理のない範囲で続けていくことが大切です。


Q薬の副作用で口が渇く場合、どうすればよいですか?

A.服用中のお薬の影響で口の渇きが生じている場合は、まず処方医に相談してみてください。自己判断で服薬を中止するのは避け、医師と一緒に対策を考えることが大切です。並行して、こまめな水分補給や唾液腺マッサージといったセルフケアを取り入れるのも有効な方法といえます。


Q.唾液を増やす食べ物はありますか?

A.梅干しやレモン、酢の物など酸味のある食品は、唾液の分泌を促す働きがあるとされています。ガムを噛むことも唾液腺を刺激する効果的な方法です。ただし、糖分の多い食品やガムはむし歯のリスクがあるため、キシリトール配合のものを選ぶとよいでしょう。


Q.インプラントのメンテナンスと唾液ケアの関係は?

A.唾液による日常的な口腔内の清浄作用と、歯科医院での定期的なメンテナンスは、どちらもインプラントを長く維持するうえで大切な要素です。両方を上手に組み合わせることで、より効果的なインプラントケアにつながります。

あくね歯科クリニック
歯科医師
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