高齢者歯科診療について
大学病院での経験・知識をもとに
治療を行います
高齢の方の多くは様々な病気を持ちながら日常生活を送っています。
高血圧や糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞などの全身疾患と歯科治療とは密に繋がっており、全身疾患を持つ方は歯科治療時に注意するべきことが多くなります。
服用している薬についても、高カルシウム血症や骨粗鬆症の治療薬として広く用いられているビスフォスフォネート系の薬を飲んでいる方は外科的な歯科治療ができないケースがあるなど、有病者高齢者治療においては口腔外科領域の知識が求められます。当院の院長は大学病院の口腔外科で学んだ経歴を持っており、その時に得た知識と経験を糧として全身疾患を持つ高齢の方の治療についても真摯に取り組んでいますので安心してご来院ください。
高齢の方は根面う蝕に注意
定期的にメンテナンスに通っている方の経過を見ていても、高齢になると必ず根面う蝕が増えてくることがわかります。一般的にむし歯ができやすい場所は歯の噛み合わせの溝の部分や歯と歯の間ですが、高齢になると、歯と歯ぐきの境目から歯の根の部分にできる根面う蝕が急激に増えます。
加齢に伴って歯ぐきが下がり、今まで歯ぐきに守られていた根の部分が見えてくることや、唾液の量が少なくなって自浄作用が減少することなどが原因です。
歯をできるだけ残すためには
丁寧な歯磨きが大切です
高齢になると根面う蝕のリスクが上がることを考えると、日頃の丁寧な歯磨きの重要性が増しますが、手の筋肉の衰えなどもあって歯磨きを面倒に感じたり、以前のように時間をかけずに簡単に済ませてしまったりする方もいらっしゃいます。
また、お口の中の環境が一度悪くなると、次の定期検診までの3ヶ月の間に4~5本の歯の根面にむし歯ができてしまい、治療しているうちにまた次の検診の日が来てしまうようなことがいつまでも続きます。
ご自身の歯を一本でも多く残すことは、身体のバランスを保って転倒しにくくなったり、しっかり噛んで脳に刺激を与え痴呆を予防したり、消化を助けて身体への負担を少なくしたりと、全身の健康にも繋がります。食事の楽しみをいつまでも持ち続けるためにも、何歳になっても丁寧な歯磨きを継続することが大切です。
マタニティ診療について
妊娠中は歯周病リスクが
高くなります
妊娠中はホルモンバランスが崩れて歯肉が炎症を起こしやすくなります。
妊娠中に発生する歯肉炎を妊娠性歯肉炎と呼びますが、歯肉炎という状態であればまだ骨には影響が出ていないので、しっかりとしたメンテナンスをしてブラッシングを頑張ることで直すことができます。しかし、仮性ポケットの中にどんどん汚れが溜まってくると、歯肉炎から歯周病へと移行してしまうことが考えられます。
歯周病は必ず最初は歯肉炎から始まり、慢性的な炎症によって歯周炎へと進行してから、歯周炎が長期化すると歯周病になるという流れが決まっているため、歯周病まで進んでしまう前に歯肉炎の状態で止めておくことが非常に重要です。
妊娠している方はどうしても歯肉炎になりやすいというリスクを避けられないので、その歯肉炎の状態をいかに早い段階で取り除くかを考えたケアが必要です。
妊婦さんへの麻酔や投薬について
当院では基本的に妊娠中の方への麻酔も投薬もレントゲンも、きちんとした知識を元に適切に行う限りでは問題ないと考えています。
もちろん気持ちの上でお腹の赤ちゃんに影響が出ることを心配される妊娠中の患者さまも多いため、検診や軽微な治療でのレントゲン撮影や薬の処方は控えておりますが、必要と判断した時には最小限の範囲に限って麻酔や投薬、レントゲン撮影を必ず行っています。
当院で導入しているレントゲンは従来のフィルムのレントゲンに比べて被爆線量が10分の1に軽減されたデジタルレントゲンであり、防護エプロンも着用し必要最低限な部分しか撮影しませんのでご安心ください。
抜歯などの難しい症例への対応
当院では口腔外科も対応しておりますので、どうしても抜歯が必要と思われるケースでは基本的には抜歯をして、術後は妊娠中の方でも飲めるお薬を処方しています。
特に痛みや強い腫れなどがないような親知らずなどは、妊娠中に無理に抜歯せずに、出産後の落ち着いた頃の受診をおすすめしています。
妊娠中に
気を付けていただきたいこと
妊娠中でもお気軽に
ご相談ください
妊娠している方でも、レントゲンと薬の処方にさえ気をつければほとんどの歯科治療は普段通りに行うことができます。
しかし、妊娠後期になるとお腹が大きくなって、仰向けに寝た体勢では腹部の血管が圧迫されるため長時間の診療が難しくなることもあり、できればむし歯や歯肉炎の治療は妊娠中期の安定した体調の時に済ませておくのが望ましいです。
治療時の姿勢についても、気分やお腹の張り具合などの様子を見ながら、椅子をあまり倒し過ぎずに楽な姿勢を取ってもらえるよう配慮しています。治療中に体勢がつらくなった時や、気分が悪くなった時は遠慮なくお申し出ください。
妊娠中に歯周病に
罹患することのリスク
妊娠中の歯周病の悪化は、お腹の赤ちゃんにも影響を及ぼすことがわかってきています。
妊娠している女性が何らかの歯周病にかかっている場合、早産や流産、低体重児出産のリスクが高まるという統計も出ており、お母さんのお口の環境が悪化すればそれだけ胎児にも影響が出ることは明らかです。大切なお子さんを守るためにも、口腔内を常に清潔に保ち、歯肉炎の状態は早い段階で治して、むし歯があれば治療を済ませておくことは絶対条件といえます。
妊産婦歯科診査を行いましょう
名古屋市では「妊産婦歯科診査」を実施しており、妊産婦歯科診査受診票をご提示の上で受診された方については、検診の後にクリーニングなどに移行されると初診料は不要になります。
当院は妊産婦歯科診査の協力歯科医療機関に指定されていますので、検診を期に一度しっかりとお口の状態の確認にご来院されて、費用を抑えながら歯石取りなどのケアを行うことをおすすめします。