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インプラント治療後、噛むと痛む なぜ?対処方法は?


インプラント治療では、人工歯根を顎の骨に埋め入れます。


埋め入れた人工歯根が顎の骨と結合して安定した後は、硬い物もしっかり噛んでお食事が可能です。


通常、インプラントは硬い物もしっかり噛めます。しかし、何らかの原因により、治療後、インプラントで噛むと痛みを感じるケースも。


今回は、「インプラント治療後の痛みの原因」および「インプラント治療後に痛みが生じたときの対処方法」をご紹介します。


■インプラント治療後の痛みの原因


◎インプラント周囲炎のほか、何らかの原因によって痛みを感じることがあります

インプラント治療が終わり、数ヶ月以上経って、人工歯根が安定しているも関わらず、噛んだときに痛みを感じるケースがあります。


インプラント治療後に生じる痛みの原因としては、主に以下が挙げられます。


①インプラント周囲炎

②噛み合わせの乱れが起きている

③人工歯根と顎の骨の結合トラブル


①インプラント周囲炎


インプラント周囲炎とは、歯周病の一種です。インプラント治療後、以下のような要素があると、インプラント周囲炎を発症する可能性があります。


[インプラント周囲炎をひき起こす主な原因]


・毎日のセルフケア(歯磨き+歯間清掃)を怠っている

・歯科医院で受けるインプラントの定期メンテナンスを怠っている

・インプラントを含めた噛み合わせの乱れが起きている


{インプラント周囲炎をひき起こす主な要素}


インプラント周囲炎をひき起こす主な要素(原因)は、歯周病菌と噛み合わせの乱れ(外傷性咬合)です。


インプラント治療後、毎日のセルフケア&定期メンテナンスが不足すると、口腔内の歯周病菌が増えてしまい、インプラント周囲炎を発症しやすくなります。


歯周病菌によるもののほか、噛み合わせの乱れが原因で、インプラントの箇所を含む歯ぐきや顎の骨がダメージを受けてしまい、インプラント周囲炎を発症するケースも。


{インプラント周囲炎で痛みを感じる場合は、かなり重度にまで炎症が進行している可能性があります}


インプラント周囲炎は、歯ぐきや顎の骨に炎症が起き、ダメージを受ける、歯周病の一種です。


歯周病は自覚症状にとぼしく、痛みを感じにくい特徴があります。ただし、例外として、重度の歯周病では食べ物を噛んだときに痛みや違和感が出るケースも。


インプラント治療後にインプラント周囲炎を発症し、痛みを感じる場合は、かなり重度にまで歯ぐきや顎の骨の炎症が進行している可能性があります。


②噛み合わせの乱れが起きている


以下のような原因により、インプラント治療後、噛み合わせが乱れることがあります。


[インプラント治療後、噛み合わせの乱れをひき起こす主な原因]


・インプラント周囲炎

・アバットメントのゆるみ

・人工歯(上部構造)の変形・破損

・人工歯根と顎の骨の結合トラブル


噛み合わせが乱れていると、アンバランスで過剰な負荷がかかりやすくなり、インプラントで噛んだときに痛みを感じる場合があります。


③人工歯根と顎の骨の結合トラブル


以下のような原因により、埋め入れた人工歯根と顎の骨のあいだに結合トラブルが起きることがあります。


[インプラント治療後、人工歯根と顎の骨の結合トラブルをひき起こす主な原因]


・インプラント周囲炎

・噛み合わせの乱れによるインプラントへの過剰な負荷

・噛む力が強すぎることによるインプラントへの過剰な負荷

・歯ぎしり・食いしばりの癖によるインプラントへの過剰な負荷

・硬すぎる物を噛む食生活を続けてしまった(※)


(※)硬すぎる物・・・氷、飴玉、梅干しの種、殻付きのナッツなど、

天然の歯&インプラントで噛むことを控えた方がいい、硬すぎる物。


人工歯根と顎の骨の結合トラブルが起きると、インプラントの安定性が失われやすいです。インプラントの安定性が失われることで、アンバランスで過剰な負荷が歯・歯周組織にかかりやすくなります。過剰な負荷により、インプラントで噛んだときに痛みや違和感を感じる場合も。


■インプラント治療後に痛みが生じたときの対処方法


◎原因に応じて、適切に対処することが重要です

インプラント治療後に痛みが生じたときは、原因に応じて、適切に対処することが重要です。


①インプラント周囲炎による痛みへの対処


インプラント周囲炎で痛みが生じている場合は、かなり重度にまで、歯ぐきや顎の骨の炎症が進行している可能性があります。炎症の進行により、歯ぐきが大きく下がったり、顎の骨の大部分が溶けてインプラントがグラグラになるケースも。


重度のインプラント周囲炎では、インプラントを撤去し、歯周外科治療などの手術が必要になることが多いです。歯周外科治療の後は、歯周組織の状態を回復できれば、インプラント治療のやり直しにアプローチできます。


なお、重度のインプラント周囲炎が起きた場合は、歯周組織へのダメージが大きくなり、顎の骨の状態の回復が難しいです。顎の骨の状態が回復できない場合、インプラント治療のやり直しが困難なケースも。その場合は、ブリッジ・入れ歯など、インプラント以外の補綴方法を検討します。


{重度に進行する前に、インプラント周囲炎を予防することが大切}


インプラント周囲炎が重度に進行すると、顎の骨のダメージにより、インプラント治療をやり直せなくなるケースが少なくありません。


インプラント周囲炎に対しては、重度に進行する前に、以下の2点を守り、インプラント周囲炎にならないように予防することが大切です。


①毎日の歯みがき+歯間清掃をしっかり行う(特にインプラントの周囲は念入りな清掃を)

②歯科医院で定期的にインプラントのメンテナンスを受ける


②噛み合わせの乱れによる痛みへの対処


噛み合わせの乱れにより、インプラント治療後に痛みが生じているときは、以下の原因に合わせて、適切な処置・治療を行うことで痛みの改善にアプローチします。


  • インプラント周囲炎

対処方法


歯周外科治療を含めた、歯周病治療を行います。顎の骨のダメージが大きく、インプラント治療をやり直せない場合は、ブリッジ・入れ歯を検討します。


  • アバットメントのゆるみ

対処方法


ご来院時、または、定期メンテナンスの際、アバットメントを締め直します。


  • 人工歯(上部構造)の変形・破損

対処方法


ご来院時、または、定期メンテナンスの際、人工歯を調整・修復・交換して対応します。修理・交換が必要な場合は、いったん仮の人工歯にしていただき、後日、新しい人工歯に取り換える場合があります。


③人工歯根と顎の骨の結合トラブル


人工歯根と顎の骨の結合トラブルは、インプラント治療後に起きるトラブルの中でも、特に重大なものです。


人工歯根と顎の骨の結合トラブルが生じる原因には、主に以下が挙げられます。


・インプラント周囲炎

・噛み合わせの乱れによるインプラントへの過剰な負荷

・噛む力が強すぎることによるインプラントへの過剰な負荷

・歯ぎしり・食いしばりの癖によるインプラントへの過剰な負荷

・硬すぎる物を噛む食生活を続けてしまった


いずれの場合も、人工歯根の撤去が必要になることが多いです。人工歯根を撤去した後は、原因に応じて、以下のような処置・治療を行います。


・歯周病治療(歯周外科治療を含む)

・噛み合わせの調整

・口腔筋機能療法(MFT)

・硬すぎる物は噛むことを控える


処置・治療を行った上で、顎の骨の状態が回復したことが確認できれば、再度、人工歯根を埋め入れ、インプラントの安定化を図ります。


顎の骨の状態が回復できず、人工歯根を安定させられない場合は、ブリッジ・入れ歯など、インプラント以外の補綴方法を検討します。


【セルフケア+定期メンテナンスでお口の健康とインプラントを保ちましょう】


インプラント治療後のトラブルの多くは、セルフケア、および、歯科医院で受ける定期メンテナンスの不足によってひき起こされます。


せっかく、長い期間と大きな費用をかけてインプラントにしたのに、トラブルによってインプラントを外さなければならなくなるのは、とてももったいないです。


お口の健康とインプラントを末永く保つためにも、インプラント治療後は、セルフケア+定期メンテナンスをしっかり継続しましょう。


[インプラント治療後に欠かせない2つのケア]


①ご自身で行う毎日の歯みがき+歯間清掃(セルフケア)

②歯科医院で受ける定期メンテナンス(プロケア)

あくね歯科クリニック
歯科医師
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