「インプラントと差し歯って、似ているようだけど、どんな違いがあるの?」
人工物を用いて歯を補う、補綴(ほてつ)。
インプラントをはじめとして、補綴には差し歯、ブリッジ、入れ歯も。むし歯治療などで使用する詰め物・被せ物も補綴の一種です。
たくさんの種類がある補綴方法の中で、混同されやすいのがインプラントと差し歯。
インプラントと差し歯には、どんな違いがあるのでしょうか?
今回は、「インプラントと差し歯の違い」をご説明します。
目次
■インプラントと差し歯の大きな違い
◎インプラントは歯がない状態、差し歯は歯根のみが残っている状態です
インプラントと差し歯の最大の違いは、以下の点です。
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インプラント······· 歯がない
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差し歯············ 歯根のみが残っている(ご自身の歯が残っている状態)
両者の違いをご認識いただいた上で、次の項ではインプラント・差し歯の基本的な構造をご紹介します。
■インプラントとは
◎失った歯の箇所の顎の骨に人工の歯根を埋め入れる補綴方法です
インプラントとは、失った歯の箇所の顎の骨(歯槽骨)に人工の歯根(インプラント体)を埋め入れる補綴方法です。
歯周病、むし歯、歯根破折、不慮の事故などで歯を失った場合、または、歯周病やむし歯が悪化して抜歯せざるを得ないケースにおいて、失った歯を補う方法の一つがインプラントになります。
◎インプラント体、アバットメント、上部構造(人工歯)で構成されています
インプラントは、以下の3つで構成されています。
[インプラントを構成する3つの要素]
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インプラント体
顎の骨(歯が植わっている歯槽骨)に埋め入れる人工歯根
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アバットメント
インプラント体と上部構造を連結するパーツ
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上部構造
歯ぐきから上の歯(歯冠部分)を補う人工歯
基本は上記の3つで構成されていますが、インプラント体とアバットメントが一体化したワンピースタイプの物もあります。
◎インプラント治療では外科的な手術を行います
インプラント治療では、歯ぐきの切開や顎の骨へのインプラント体の埋め入れなど、外科的な手術を行います。
手術後は数ヶ月ほどの治癒期間を経て、生体現象(オッセオインテグレーション)により、顎の骨とインプラント体が強固に結合します。
顎の骨とインプラント体が生体的に強固に結合しているため、インプラントは安定性が高い点が特徴です。治療後は硬い物や弾力のあるお肉などもしっかり噛んでお食事を楽しめます。
■差し歯とは
◎残っているご自身の歯根に被せ物を取り付ける補綴方法です
差し歯とは、残っているご自身の歯根に被せ物を取り付ける補綴方法です。
重度のむし歯などが原因で歯ぐきから上の歯の部分(歯冠)が崩れ落ち、歯の根っこである歯根のみが残っている場合、差し歯による補綴を行うことがあります。
◎歯根の中にポストを差し込み、コアでさらに補強します
差し歯による補綴を行う場合は、まず、歯の根っこの内部を綺麗にするために根管治療を行います。
根管治療後は歯根の中にポストという補強素材(軸)を差し込み、歯根が折れないように補強します。
ポストを差し込んで補強した後は、ポストの上にコアという土台を取り付け、被せ物を補強します。
コアの取り付け後は、セラミックなどの被せ物を装着し、差し歯が完成します。
◎差し歯は硬い物を噛むと歯根が折れる場合も
差し歯は、弱った歯根(神経を取り除いた歯根)を補強して被せ物を取り付けた状態です。
補強してはいるものの歯根が弱っているため、インプラントと比べると、差し歯は安定性の面で劣る場合があります。
そのため、差し歯は硬い物を噛むと歯根が折れることも。差し歯の方は、差し歯では硬しぎる物を噛まないようにするなど、差し歯に負担をかけないように心がけることが大切です。
【歯の状態が良くない方、失った歯を補う方法でお悩みの方はお気軽にご相談ください】
今回はインプラントと差し歯の違いについて解説しました。
歯周病などで歯の状態が良くない方、失った歯を補う方法でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
診察では歯科医師が歯の状態を確認します。歯の状態を確認後、患者さまの現在のお困りごとやご希望をお伺いした上で、一人ひとりの方に適した治療をご提案させていただきます。