インプラント治療で使用するフィクスチャーやアバットメントなどのパーツはメーカーによってそれぞれ機能が異なり、価格も違います。インプラント治療を成功させるためには、術者である歯科医師の技術や経験、知識が求められます。加えて、治療で使用するインプラント製品も品質をしっかり吟味しなくてはいけません。今回は、当院採用のストローマン社「SL Activeロキソリッド」について、および、「海外・国内の主要インプラントメーカーの特長」をご紹介いたします。
(※)フィクスチャー・・・顎の骨に埋め入れる人工歯根。インプラント体とも呼ぶ。
(※)アバットメント・・・フィクスチャーと人工歯(上部構造)を接続する土台。
目次
■ストローマン「SL Active ロキソリッド」のご紹介
◎小さく、強度が高く、結合力に優れたインプラント
当院では世界のトップインプラントメーカー、ストローマン社の「SL Active ロキソリッド」を採用しております。
SL Active ロキソリッドは従来のフィクスチャーよりも直径が小さく、強度が高い点がメリットです。
さらにストローマンの代名詞であるSLA表面加工(※)も備えており、顎の骨と結合しやすいという特長も持っています。
安定性・安全性に優れ、現在選択できる中では最高のインプラントと感じたため、同製品を導入いたしました。
(※)SLA表面加工・・・(Sand-blasted Large-grit Acid-etched)フィクスチャーの表面にコランダム素材を吹き付け、酸処理をしてざらざらにする表面加工。加工によって表面積が増し、骨との結合力が高まる。
[SL Activeロキソリッド 5つの特長]のご紹介
〇直径が小さい
強度向上により直径の減少に成功。直径が小さくなったため、顎の骨の細い部分など、従来では不可能だった箇所にもインプラントの埋め入れが可能に(※)。
(※)患者様や症状によって適用可能範囲が異なります。
〇身体への負担が少ない
直径が小さいため、従来のフィクスチャーと比べて歯ぐきや顎の骨にかかる負担を軽減。
〇強度の高さ
チタンに15%ジルコニウムを配合。従来のチタンのみのフィクスチャーと比べ、強度が向上。
〇高い結合性
SLA表面加工によって顎の骨との結合力が高まり、短期間での骨の治癒が可能に。
〇科学的エビデンスにもとづく長期間の安定性
スイスのベルン大学・インプラント専門研究チーム(ITI)を始め、さまざまな研究機関と技術提携。10年間の臨床研究の結果、手術を受けた人の10年後のインプラント生存率は98.2%を記録(※)。
(※)ストローマンHPより引用。
(※)患者様の状態によっては残存期間が短くなるケースがあります。
■インプラント各メーカーの特長
◎海外のインプラントメーカー
世界には数百社以上のインプラントメーカーが存在すると言われています。中でも、世界3大メーカーと呼ばれているのが以下の会社です。
①ストローマン
②ノーベルバイオケア
③デンツプライシロナ
①ストローマン(スイス)
シェアトップを誇る、名実共に世界ナンバーワンのインプラントメーカーです。ベルン大学のインプラント専門研究チーム(ITI)との技術提携によってストローマンインプラントを開発。科学力&化学力にもとづいた研究開発を進め、その地位を不動のものにしました。ストローマンインプラント(結合力を高めたSLA表面加工のインプラント)が有名でしたが、近年、SLA表面加工に加えさらに強度を高めたSL Active ロキソリッドを開発。同製品の評価も高く、業界1位の座を守り続けています。
②ノーベルバイオケア(スウェーデン)
「近代インプラントの父」と呼ばれるブローネマルク教授の名前を冠したブローネマルクシステムで知られるインプラントメーカーです。世界初のインプラントメーカーであり、幅広い治療実績とインプラントシステム開発(フィクスチャーをネジ形状にした点やオールオンフォーの開発など)の歴史においては他社の追随を許しません。業界を代表するインプラントメーカーのひとつです。
③デンツプライシロナ(アメリカ)
骨吸収(インプラントを埋め入れた顎の骨がやせてしまうこと)を起こしにくいアストラテックシステムで知られるインプラントメーカーです。製品の審美性の高さにも定評があります。元々はスウェーデンの会社でしたが、アメリカのデンツプライシロナ社の傘下となり現在はアメリカ企業です。日本ではデンツプライシロナジャパンが販売代理店となり、日本国内の歯科医院向けにインプラント製品の販売を行っています。
上記が世界の3大インプラントメーカーです。中でもストローマンとノーベルバイオケアの2社は高い実績(治療成功率、インプラント生存率)を誇り、国内外の多くの歯科医院が同2社の製品を採用しています。
この3社に加え、以下のジンヴィを入れた4社が世界4大インプラントメーカーと呼ばれています。
④ジンヴィ(アメリカ)(旧:ジンマー、バイオメット3i)
骨と結合しやすい(結合するまでの期間が早い)カルシテックインプラントで有名なメーカーです。カルシテックインプラントはハイドロキシアパタイト(HA)の力で骨との結合力を高めたインプラントシステムです。世界4大インプラントメーカーのひとつに数えられています。
⑤カムログ(ドイツ)
カムログインプラントシステムで知られるインプラントメーカーです。フィクスチャーにくぼみ、アバットメントに突起を設けることで2つが噛み合って強固に固定される(ノッチ&カム)システムを確立したメーカーでもあります。日本では株式会社アルタデントが販売代理店となり国内向けに販売を行っています。
◎日本国内のインプラントメーカー
日本国内の代表的なメーカーと言えば、下記の3社でしょうか。京セラとジーシーは日本国内の2大インプラントメーカーと呼ぶこともあります。日本メーカーに共通する特長としては、「サイズ展開が豊富」という点が挙げられます。海外メーカーは身体の大きい欧米人向けに作られているので日本人には合わないケースがあるのです。このような理由から日本では「日本人に向けた適正サイズのインプラント製品」を提供しているメーカーが多いです。
①京セラメディカル(日本)
日本国内では最古参(1978年販売開始)のメーカーです。欧米人に比べて体型の小さい日本人にも合うように設計されたFINESIAやPOIシステムを提供しています。結合力を高めたHAコーティングのインプラントも京セラの代表的製品として知られています。インプラントやアバットメントのサイズの種類(小径の物から大径まで)が非常に多いのが特長です。
②ジーシー(日本)
パーツすべてを日本国内で生産する純国産インプラントで知られるインプラントメーカーです。1990年の販売開始以来、日本の精密な技術で作られたインプラント製品は定評があります。顎の骨が少なかったり骨が薄いケースにも適用できるフィクスチャー(ショート・ナローインプラント)や骨との結合力を高めたフィクスチャーなど、さまざまな症例に対応可能な各種パーツを提供しています。
③プラトン(日本)
ストローマンインプラント(ストローマン社)とPOIインプラント(京セラ)のジェネリックインプラントを提供するメーカーです。ストローマンのシステムを基本としつつ、POIにも互換性がある点(海外の高い技術+日本人に合いやすいサイズ感)が特長です。
【高品質なパーツを使ったインプラントを低価格で】
「SL Active ロキソリッド」を使った治療は一般的に平均40~50万円の費用がかかりますが、当院では20万9千円(税込)で治療を行っています。
「高品質なパーツを使ったインプラント治療をできるだけ安い価格で提供したい」という思いから、コスト削減を図り、上記価格を実現いたしました。
今回ご紹介したインプラントメーカーの製品はどれも一定以上の品質を持つ物ばかりです。院長である私自身もインプラントのパーツ導入の際、他社製品と悩みましたが、やはりSL Active ロキソリッドの安定性・結合力・適用範囲の広さ・高い強度に優位性を感じ、導入した経緯があります。
歯科医師の腕がどんなに良くてもパーツがダメだと失敗につながることがあります。その逆も然りです。インプラント治療をご検討されている方は、歯科医院の設備や歯科医師の経歴のほか、「どのメーカーのインプラント製品を使っているか」もぜひ、チェックしてみてください。