「黄色い(緑色)の鼻水が止まらない…」
「鼻のつまりが取れず、息苦しい状態が続いている…」
「鼻の穴が、いつも臭い気がする…」
長引く鼻水・鼻づまり・鼻の穴が臭う… 皆さまには、上記のような症状はありませんでしょうか?
上記のような症状が見られる場合、蓄膿症(ちくのうしょう)の可能性があります。
蓄膿症とは、鼻の周囲の骨の空洞である「副鼻腔(ふくびくう)」に起きる、鼻の病気です。副鼻腔内の炎症をともなう病気のため、蓄膿症は副鼻腔炎(ふくびくうえん)の一種に分類されます。
一般の方にも比較的多く見られる鼻の病気、副鼻腔炎(蓄膿症)。
鼻の病気であり、耳鼻咽喉科での治療が主ですが、副鼻腔炎はお口(歯科)との関わりも。歯科治療の中でも、特に、インプラント治療と副鼻腔炎は深く関係しています。
今回は、「副鼻腔炎(蓄膿症)とは」「副鼻腔炎の症状・原因」および「インプラント治療が原因で副鼻腔炎になる!?」について、ご説明します。
目次
■副鼻腔炎(蓄膿症)とは
◎鼻の周囲の顔面に存在する副鼻腔に起きる、鼻の炎症
副鼻腔炎とは、鼻の周囲の顔面に存在する空洞の「副鼻腔」内の粘膜に起きる、鼻の炎症です。副鼻腔炎が進行すると、炎症が起きた副鼻腔の粘膜から膿がでて蓄膿症を発症することがあります。
◎副鼻腔の役割
鼻腔(びくう)とは、鼻の穴です。鼻の穴である鼻腔は、空気の通り道であると共に、鼻腔内の粘膜から粘液を分泌し、鼻水を出して細菌やウイルス、ほこりなどの異物を身体の外へ排出する役割を持っています。
鼻の穴の周りには、さらに、副鼻腔というたくさんの空洞があり、副鼻腔は鼻腔につながっています。鼻を中心に、顔の骨の中心から広がる形で、以下のような位置に、それぞれの副鼻腔が存在します。
[副鼻腔の位置]
- 頬の裏側······· 上顎洞(じょうがくどう) (歯やインプラントと関係が深い副鼻腔)
- 目のあいだの裏側······ 篩骨洞(しこつどう)
- 額の裏側············ 前頭洞(ぜんとうどう)
- 鼻の奥の裏側········ 蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)
鼻腔と同じく、副鼻腔は副鼻腔内の粘膜から粘液を分泌し、鼻水を作っています。鼻水の分泌に加え、副鼻腔には、以下のような役割もあります。
[副鼻腔の役割]
- 粘液を分泌し、鼻水を出して身体の外へ異物を排出する
- 顔面の骨を減らし、頭蓋骨が重くなり過ぎないようにする
- 顔面への衝撃を減らしつつ、顔面の骨の形と強度を保つ
- 鼻腔と共に、副鼻腔により、声に響きを与える
■副鼻腔炎の症状
◎鼻が詰まる、鼻の穴が臭う、鼻の穴から膿が出るなどの症状が現れやすくなります
副鼻腔炎になると、以下のような症状が現れやすくなります。長引く鼻づまりは、要注意です。
[副鼻腔炎の症状]
- 鼻が詰まる
- 鼻が詰まり、口呼吸になる
- 鼻水が止まらない
- 鼻の穴が臭う(ご自身や周りの空気が臭いと勘違いするケースも)
- 黄色or緑色の鼻水(膿を含んだ鼻水)が出る
- 頭が重い感覚がある
- 頬や目の奥にズーンとした圧迫感がある
- 頬や目の奥に痛みを感じる
- 飲食物の臭いや味がよくわからない(味覚障害)
- 咳(急性副鼻腔炎)
- 発熱(急性副鼻腔炎)
- 歯の痛み(細菌感染による副鼻腔炎(歯性上顎洞炎など))
- 口臭(細菌感染による副鼻腔炎(歯性上顎洞炎など))
■副鼻腔炎の原因(&副鼻腔炎の種類)
◎風邪による副鼻腔内の粘膜の炎症のほか、アレルギー性鼻炎、鼻のポリープ(鼻茸)などの原因が見られます
副鼻腔炎(急性副鼻腔炎)を起こす原因でもっとも多く見られるのが、風邪による副鼻腔内の粘膜の炎症です。
風邪に加え、以下のような原因でも、副鼻腔炎(急性副鼻腔炎)を発症することがあります。
[副鼻腔炎(急性副鼻腔炎)の原因]
- 風邪
- アレルギー性鼻炎
- 鼻のポリープ(鼻茸:はなたけ)
◎急性副鼻腔炎を発症し、副鼻腔の炎症が長引くと、慢性副鼻腔炎に移行するケースも
副鼻腔炎には、上記の急性副鼻腔炎と、慢性副鼻腔炎の2種類があります。
副鼻腔炎が起きるときは、通常、上記のような原因から、まず、急性副鼻腔炎を発症することが多いです。急性副鼻腔炎の発症後、以下のような原因により、副鼻腔内の炎症が長引くと、慢性副鼻腔炎に移行しやすくなります。
[副鼻腔炎(慢性副鼻腔炎)の原因]
- 急性副鼻腔炎による副鼻腔内の粘膜の炎症がくり返されることで、粘膜が異物を排出する機能が衰え、副鼻腔内の炎症が慢性化する
■インプラント治療と副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)の関係について
◎インプラント手術時のトラブルが原因で上顎洞内に細菌が感染し、副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)を発症することも
鼻の穴(鼻腔)につながる副鼻腔内の粘膜が炎症を起こし、膿が出る、頭痛がする、などの様々な症状がひき起こされることがある、副鼻腔炎。
副鼻腔炎は、上顎洞・篩骨洞・前頭同・蝶形骨洞のいずれの粘膜にも起こり得ます。いずれの粘膜にも起こり得ますが、4つある副鼻腔のうち、もっとも副鼻腔炎を起こしやすいのが、頬の裏側にある上顎洞です。
副鼻腔炎のうち、上顎洞内の粘膜に炎症が起きているものを、「上顎洞炎」と呼びます。
上顎洞は頬の裏側にあると共に、上顎の奥歯の上部に位置しています。人によっては、上顎洞の底、スレスレまで上顎の歯根の先端が伸びている方もおり、上顎洞と歯(上顎の奥歯)はとても近い位置関係です。
上顎洞と上顎の奥歯は近い位置にあるため、上顎の奥歯の顎の骨を増やす目的で行う骨造成手術の際、以下のようなトラブルによって上顎洞の底の粘膜を傷つけてしまい、歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)と呼ばれる副鼻腔炎を発症することも。
■インプラント治療以外にも、むし歯・歯周病や歯科治療が原因で副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)を発症することがあります
◎歯性上顎洞炎の特徴は、「片側の鼻や頬に症状が現れることが多い」点です
インプラントの補助手術(骨造成)におけるトラブルにより、発症する場合がある、副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)。
上顎洞は上顎の奥歯に近いため、インプラント治療以外にも、以下のような原因で歯性上顎洞炎を発症するケースもあります。
[歯性上顎洞炎の主な発症原因(インプラント治療以外)]
- 上顎の奥歯の重度のむし歯(歯の神経、および、歯の根に達したむし歯)
- 上顎の奥歯の重度の歯周病
- 上顎の奥歯の根管治療で適切に細菌が除去されておらず、根管内部で再感染が起きた
- 上顎の奥歯の根管治療時、器具の先端が根管の先を突き抜け、上顎洞の底の粘膜に穴を開けてしまった
歯性上顎洞炎を発症すると、原因となっている歯、どちらか左右片側の鼻や頬に痛みなどの症状が見られることが多いです。
【歯性上顎洞炎は歯科医院での治療が必要です】
風邪などの原因によって起きることがある、副鼻腔炎。
風邪のほか、インプラント治療の補助手術時のトラブルや、むし歯・歯周病、根管治療などが原因で副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)を発症する場合も。歯性上顎洞炎が起きたときは、原因に応じて、歯科医院での適切な治療が必要です。
今回は、風邪などの様々な原因で発症することがある「副鼻腔炎」、および、むし歯・歯周病や歯科治療(インプラント治療、根管治療など)が原因で起こり得る「歯性上顎洞炎(副鼻腔炎の一種)」について、お話をさせていただきました。
当院は2,000症例以上のインプラント治療実績があり、難症例にも対応が可能です。また、必要に応じて「サージカルステント」を使用することで正しい方向や位置にインプラントを埋入することができ、安全に治療を進めることができますので、ご安心いただければと思います。