インプラント治療が原因で起こり得る、副鼻腔炎(蓄膿症:歯性上顎洞炎)。
前回のブログでは、インプラント治療後に起こり得る歯性上顎洞炎の症状・原因のお話をさせていただきました。
今回は、インプラント治療後に歯性上顎洞炎が起こったときの治療方法・予防の仕方について、ご紹介します。
目次
■インプラント治療後に歯性上顎洞炎が起こったときの治療方法
◎抗菌薬(抗生物質)や鎮痛薬の飲み薬を用い、上顎洞内の炎症の緩和・痛みの軽減を図ります
インプラント治療後に起こり得る歯性上顎洞炎は、上顎洞内の粘膜や骨が炎症を起こしている状態です。このため、まずは、抗菌薬(抗生物質)や鎮痛薬の飲み薬を用い、上顎洞内の炎症の緩和・痛みの軽減を図ります。
{耳鼻咽喉科での治療で歯性上顎洞炎の改善にアプローチするケースも}
薬物療法(抗菌薬、鎮痛薬)で効果が得られない場合は、耳鼻咽喉科にて、上顎洞穿刺洗浄(※)を行い、歯性上顎洞炎の改善にアプローチするケースも。
(※)上顎洞内に管(針)を刺し、生理食塩水と
抗菌剤で上顎洞の内部を洗浄する治療法。
◎インプラントパーツを取り除く処置や、上顎洞底部に開いた穴を閉じる処置が必要になることがあります
以下のような原因により、インプラント治療後に歯性上顎洞炎が起きるケースがあります。
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上顎洞内にインプラントパーツが迷い込んでいる
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インプラントの先端が上顎洞底部を突き破り、上顎洞の粘膜に穴が開いている
上記のようなケースでは、上顎洞内に残っているインプラントパーツを取り除く処置や、上顎洞底部に開いた穴を閉じる処置が必要になることがあります。
◎薬物療法や、耳鼻咽喉科での洗浄治療の効果が得られない場合は、手術を検討します
薬物療法や、耳鼻咽喉科での洗浄治療の効果が得られない場合は、以下のような手術を実施し、状態の改善を図ることがあります。
[歯性上顎洞炎に対して行うことがある手術法]
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内視鏡下副鼻腔手術(ESS)
鼻の穴から内視鏡を挿入し、内視鏡下で、炎症を起こした上顎洞内の粘膜を切除する手術法です。
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上顎洞根治手術(上顎洞根本手術)
上顎洞の炎症粘膜の切除や骨の削除を行う手術法です。犬歯の歯ぐきの上部を切開するコールドウェル法や、上顎洞を含む広い範囲の骨を削除するデンカー法などがあります。
上顎洞根治手術は切開・侵襲範囲が広く、身体への負担が大きいです。身体への負担を考慮し、現在、歯性上顎洞炎の手術では、内視鏡下副鼻腔手術を行うケースが多くなっています。
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通常、上記の手術は耳鼻咽喉科、または、口腔外科にて行われます。
■インプラント治療で歯性上顎洞炎を起こさないようにするための予防の仕方
◎徹底した感染予防対策、および、手術前のCT検査が欠かせません
インプラント治療で起こり得る歯性上顎洞炎を起こさないようにするためには、以下の2点が欠かせません。
1.インプラント治療を行うクリニックでの、徹底した感染予防対策
インプラント手術を行う際は、以下のような取り組みにより、感染予防対策を徹底する必要があります。
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高性能洗浄機や高圧蒸気滅菌器を用い、器具の衛生管理を徹底
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口腔外バキュームによる、手術中の飛沫の吸引
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使い捨て器具(手袋、紙コップなど)の使用
2.手術前のCT検査(CT検査に基づく、インプラント手術のシミュレーション)
インプラント治療において、手術前のCT検査は必須です。CT検査の結果に基づき、インプラント手術(骨造成を含む)のシミュレーションを行うことで、上顎洞の正確な位置や顎の骨の状態を把握しやすくなり、手術の安全性・精確性を高められます。
◎手術後、抗菌薬を飲み切ることが大切です
歯性上顎洞炎を防ぐためには、インプラント手術後、処方された抗菌薬を飲み切ることが大切です。抗菌薬を飲み切らなかった場合、上顎洞内の細菌感染が進行し、歯性上顎洞炎を発症する可能性があります。
◎インプラント手術(骨造成を含む)前に、上顎の奥歯の感染病巣の治療が必要になる場合も
慢性的な根尖性歯周炎など、上顎の奥歯の歯根周辺に病巣があると、インプラント治療をきっかけに歯性上顎洞炎を発症してしまうケースも。
根尖性歯周炎など、上顎の奥歯の感染病巣がある場合は、治療が必要になることが多いです。インプラント手術前に行う根尖病巣の治療により、感染症対策をしておくことで、歯性上顎洞炎の発症リスクの低減を図ります。
【徹底した衛生管理を行い、精密機器を用いて、インプラント手術の安全性・精確性を高めています】
あくね歯科クリニックでは、各種衛生機器・精密機器を用い、インプラント手術の安全性・精確性を高めています。
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