埋め入れたフィクスチャーを顎の骨にしっかりと結合し、インプラント治療を成功させるためには禁煙が必須です。当院では、最低でもインプラント手術前と手術後には一定期間の禁煙をお願いしております。

 

「インプラントと喫煙の関係性」については、以前、ブログにてお話をさせていただきました。

 

禁煙が必須ですが、インプラント治療をご検討中、また、インプラント治療中の患者さまからは「電子タバコや加熱式タバコなら禁煙をしなくても大丈夫ですか？」とご質問をいただくことがあります。

 

結論から言いますと、

 

「インプラント治療を受ける際は電子タバコ・加熱式タバコも控えるのが望ましい」

 

です。

 

今回は「インプラント治療においては、電子タバコ・加熱式タバコも控えた方がよい理由」をお話しします。

 

■ニコチン、タール、一酸化炭素が及ぼすインプラント治療への悪影響

 

◎タバコに含まれる有害物質が原因でインプラントが抜け落ちやすくなる

 

一般的な紙巻タバコに含まれるニコチンやタール、一酸化炭素などの有害物質は身体にさまざまな悪影響をおよぼします。

 

タバコに含まれる上記の有害物質が原因で歯ぐきの血行不良や顎の骨（歯槽骨）の代謝不全、免疫力の低下による細菌感染などがひき起こされ、埋め入れたインプラントが抜け落ちやすくなります。

 

■電子タバコ・加熱式タバコとは？

 

分類 有害物質の種類	電子タバコ （VAPEなど）	加熱式タバコ （IQOSなど）
ニコチン	△ 日本国内では禁止 （海外製品にはニコチンを含む物も）	〇 ニコチンを含む
タール	✕ 含まない	✕ 含まない
一酸化炭素	✕ 含まない	✕ 含まない
ホルムアルデヒドなどの 有害物質	〇 含む	〇 含む

 

◎電子タバコ・加熱式タバコの特徴

 

電子タバコとは、フレーバーがついた液体（リキッド）を電気で加熱してエアロゾル（※）を吸い込む次世代のタバコです。代表的な製品にはVAPE（ベイプ）などがあります。

 

加熱式タバコとは、フィルターにタバコの葉を入れ、タバコの葉を電気で加熱してエアロゾルを吸い込むタバコを指します。代表的な製品にはIQOS（アイコス）などがあります。

 

（※）エアロゾル・・・微細な液体・個体が空気中に

ただよっている状態。ヘアスプレーなどもエアロ

ゾルに該当する。エアロゾルは水蒸気ではない。

 

｛電子タバコ・加熱式タバコはタールや一酸化炭素を含まない｝

 

電子タバコ・加熱式タバコはどちらも電気で加熱しエアロゾルを吸い込む方式のため、タールや一酸化炭素は含みません。

 

■電子タバコ・加熱式タバコは控えた方がよい理由

 

◎電子タバコ・加熱式タバコは控えるのが望ましいです

 

インプラント治療を受ける際、紙巻タバコに加えてなぜ、電子タバコ・加熱式タバコも控えた方がよいのでしょうか？

 

インプラント治療で電子タバコ・加熱式タバコも控えた方がよいのは、以下のような理由があるためです。

 

理由その①電子タバコはニコチンを含まない　ただし　海外製品にはニコチンを含む物も

 

電子タバコにおいては、日本国内ではニコチンを含むカートリッジの販売は禁止されています。ただし、海外製品にはニコチンを含む物も。

 

日本国内で流通しているカートリッジのみを使用していれば、電子タバコの喫煙によって体内にニコチンを摂取することはありません。しかし、インターネットの通販・個人輸入などでニコチンを含む海外製品を使用している場合は、電子タバコによってニコチンが体内に入る可能性があります。

 

理由その②加熱式タバコはニコチンを含む

 

加熱式タバコはタバコ葉を電気で加熱し、エアロゾルを吸い込みます。タバコ葉を使用するため、加熱式タバコはニコチンを含みます。

 

理由その③電子タバコ・加熱式タバコ、どちらもホルムアルデヒドなどの有害物質が含まれている

 

電子タバコは日本国内の物であればニコチンやタールを含まず、紙巻タバコと比べてインプラント治療への影響は軽減されます。ただし、電子タバコの海外製品にはニコチンを含む物があります。また、電子タバコ・加熱式タバコ共にホルムアルデヒドなどの有害物質を含んでいます。

 

上記の理由から、電子タバコ・加熱式タバコ、どちらもインプラント治療に悪影響を及ぼす可能性があります。特に加熱式タバコはニコチンを含むため、インプラント治療への悪影響は避けられません。

 

ホルムアルデヒドなど、ニコチンやタール以外の有害物質がインプラント治療にどのような影響を及ぼすのかについてはまだ研究段階です。しかし、研究段階であっても、インプラント治療を成功に導くためにはニコチンやタール以外の有害物質もできるだけ体内に摂取しないことが望ましいです。

 

【喫煙者の方のインプラント治療は当院までご相談ください】

 

見た目の新しさ、煙が出ないなどの理由から使用する方も多い電子タバコ・加熱式タバコ。

 

ニコチンを含まない（日本国内の電子タバコの場合）、タールを含まない、燃やさないためニコチンが軽減される（加熱式タバコ）など、電子タバコ・加熱式タバコは従来の紙巻きタバコと比べて身体への悪影響が少ない点をアピールしています。

 

しかし、今回お伝えしたように、紙巻きタバコよりは少ないものの、電子タバコ・加熱式タバコには有害物質が含まれます。身体へ及ぼす悪影響をできるかぎり排除し、インプラント治療を成功させるためには紙巻きタバコはもちろんのこと、有害物質を含む電子タバコ・加熱式タバコも控えた方がよいでしょう。

 

-手術前の禁煙でインプラント治療が可能に-

 

喫煙習慣がある方でも、手術前に禁煙をすることでインプラント治療が可能になります。

 

手術を成功させ、安定してインプラントを使い続けるためには術前に加えて手術後も継続して禁煙をしていただくのが望ましいです。

 

喫煙者の方でインプラント治療をご希望の場合は、禁煙スケジュールを含めた詳しい治療内容を院長よりご説明させていただきます。どうぞお気軽にご相談ください。